高血糖対策・糖尿病予防に「食物繊維」

食物繊維」には多くの種類がありますが、大きく分けると、 水に対する溶解性からこれに可溶な「水溶性食物繊維」と不溶な「不溶性食物繊維」 の2つの種類に分類することができます。
(*本文は下の方にあります)


■高血糖対策・糖尿病予防に「食物繊維」

●食物繊維とは?

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がある

『食物繊維』とは、人の消化酵素で消化されない食物中の成分の総称で、 腸内の発癌物質など有害物質を排出、腸内をきれいにし、善玉菌を増やし、 免疫細胞であるリンパ球を活性化して免疫力を高める作用があるといわれています。 また、腸を活発にさせるので便秘の予防・改善にも有効に働きます。 「食物繊維」は種類が多く、それぞれに働きが違うので多種類の食品から摂取した方が効果的です。

「日本人の食事摂取基準(2005年版)」において「食物繊維」は、 『人の消化酵素で消化されない食物中の 難消化性成分の総称』と定義されており、 主に植物細胞壁の構造成分からなる難消化性の多糖類やリグニンなどが含まれますが、 キチン、キトサンなどの動物性のものやポロデキストロースなどの合成多糖類も含まれます。

食物繊維には多くの種類がありますが、大きく分けると2つの種類に分類されます。 水に対する溶解性からこれに可溶な「水溶性食物繊維」 と不溶な「不溶性食物繊維」に分類され、 化学的には同じであっても、物理的性質はかなり異なっており、このことが生理作用の違いに関係しています。


◆食物繊維の分類と含有食品

水溶性食物繊維(soluble dietary fiber:SDF) は、水への親和性が強い食物繊維で、植物細胞内の 非構造多糖類のペクチン、ガム質や海藻多糖類が含まれ、合成食品添加物であるポリデキストロースも 水溶性食物繊維に分類されます。 一方、水に溶解しにくい不溶性食物繊維(insoluble dietary fiber:IDF)は、植物細胞壁の構造成分で、 セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどが含まれ、動物性由来のキチンやキトサンもこの範疇に入ります。 食物繊維摂取量の約80%は、不溶性食物繊維で、その大部分をセルロースが占めます。

  名称 多く含む食品
不溶性食物繊維(IDF)
セルロース 穀類、野菜、豆類
ヘミセルロース 穀類、ふすま、豆類
リグニン ココア、野菜
キチン 甲殻類の外皮
水溶性食物繊維(SDF)
ペクチン 果物、野菜
グアガム グア豆
コンニャクマンナン コンニャクイモ
寒天 テングサ
アルギン酸 褐藻類
コンドロイチン硫酸 軟骨、魚肉
ポリデキストロース 飲料、菓子

水溶性食物繊維は、たとえばコンブやワカメなどの海藻に多い食物繊維で、水に溶けると粘り気が増し、 水分を吸収すれば膨らむという性質があります。そのため胃の中で滞留する時間が長く、食べたものの消化吸収のスピードを 遅くします。その結果、余分な糖質やコレステロールが吸収されるのを防ぎ、高血糖や高脂血症を防ぐ働きがあります。 一方の不溶性食物繊維は、キャベツなどの野菜やイモ類に多い食物繊維で、水分を吸収すると数倍から数十倍にも膨張し、 腸壁を刺激して腸の働きを活発にします。そのため、便のかさを増やして便秘を解消したり、体内に発生した発癌物質や 老廃物を排泄したりする働きのあることがわかっています。

日本人は第二次世界大戦直後までは、毎日の食事から大量の食物繊維を摂っていました。 なぜなら、野菜や豆類、海藻類などの食物繊維が豊富な「和食」を食べてきたからです。 ところが戦後になって食事が欧米化すると肉食中心になり、高脂肪の食事を食べる人が増えていきました。 すると、戦後50年で食物繊維の摂取量は、半分近くに激減してしまったのです。 厚生労働省は、食物繊維の1日あたりの摂取量の目安を20〜25gと推奨しています。 実際、戦後間もない1951年(昭和26年)ころの日本人は、平均して1日24gの食物繊維を摂っていました。 しかし、2000年(平成12年)の国民栄養調査によると14.3gまで激減しており、さらに、平成16年の調査によれば、 30〜40代の人の食物繊維の摂取量はわずか12〜13gしかありません。つまり、食物繊維の摂取量が減るのと反比例するように、 癌や糖尿病などの病気が増えているのです。このことからも、食物繊維がいかに重要な栄養かがわかります。



●食物繊維を十分摂るには?

野菜や海藻の多食が肝心で、特に「寒天」がお勧め

食物繊維不足を防ぐには、まず何よりも食生活を和食中心に切り替えることが肝心です。 和食には食物繊維の豊富な食材がふんだんに使われているからです。特に、食物繊維の宝庫といわれる野菜や海藻、 穀類は和食の伝統的な食材で、積極的に摂りたい食材です。それに加えて、お勧めなのが日本で昔から食べられてきた 伝統食品の「寒天」。寒天は、テングサなどの紅藻類(赤色の海藻)が原料で、その溶液をろ過すると、 凝固してトコロテンができます。このトコロテンを脱水・凍結・乾燥させたものが寒天です。 寒天はその成分の8割が食物繊維という、いわば食物繊維の塊のような食品です。寒天4g中にゴボウ1本分の食物繊維が 含まれています。特に水溶性食物繊維が豊富で、水分を吸収すると膨張して、余分な糖質や脂質・発癌物質などの 有害物質を吸着し、体外に排泄してくれます。また、寒天に含まれる「アガロース」という成分は、 体内で「アガロオリゴ糖」という成分に分解され、抗癌作用を発揮することがわかっています。

ところで、寒天といっても角型をした棒寒天や乾麺のような糸寒天などの種類があります。 でも棒寒天や糸寒天は、食べる際に水に浸すといった下処理が必要になります。 寒天を毎日食べるとなれば、こうした下処理を行うのは面倒でしょう。 そこで、お勧めしたいのが「粉寒天」の利用です。粉寒天は、棒寒天や糸寒天を精製し、より純粋な寒天成分を 取り出して、粉末に加工したものです。最近では、スーパーやネットなどで市販されているため、入手も簡単です。 この粉寒天を毎日無理なく摂るために最適なのが「粉寒天入り緑茶」。寒天は85〜95℃で固体から液体に変化し、 35〜40℃で冷えて固まるという性質があります。そのため、粉寒天を摂るためには、熱い飲み物に混ぜて飲むのが 最適なのです。緑茶に含まれる渋み成分のカテキンには、糖質の吸収を遅らせたり、体脂肪を燃焼させたりする働きが あります。また、粉寒天は無味無臭のため、緑茶に入れても緑茶の風味は損なわないため、手軽に食物繊維を摂ることが できるでしょう。