糖尿病の進行度B「ステージ2(第二段階)」

糖尿病の進行度は6段階あります。 第二段階は初期の糖尿病で、ヘモグロビンA1cを少し高めの6.9にゆっくり下げれば合併症も防げます。 また、この段階での食事療法としては「糖質制限食」がお勧めです。
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■ステージ2

合併症がなくても油断は禁物

ステージ2(第二段階)は、糖尿病になっているものの、合併症を発症していない人です。 具体的には、空腹時血糖値が126ミリグラム以上、またはブドウ糖負荷試験で120分後の値が200ミリグラム以上で、 尿アルブミン値が18以下の人になります。 空腹時血糖検査とブドウ糖負荷試験で糖尿病が確認されたら、すぐに尿アルブミン値と血清クレアチニン値をチェックして、 合併症の程度を確認してください。その結果、尿アルブミン値が18以下なら、合併症が発症していない状態、 すなわちステージ2と判定されます。 もっとも、ステージ2で合併症が起きていないからといって、油断は禁物。最低でも月1回は通院治療を行い、 合併症が起きていないか、絶えず確認しなければなりません。なぜなら、糖尿病の治療の目的は、 「合併症を起こさない」「すでに起きている人は、合併症を進行させない」ことにあるからです。 ステージ2の人は、幸いにもまだ腎臓の合併症を起こしていません。 ですから、「今後、合併症は絶対に起こさない」と、硬く心に誓って生活習慣を改め、治療を続けてください。



●ステージ2の治療「糖質制限食」

薬を使わずに血糖値をゆっくり下げる

ステージ2の治療は、血糖値のコントロールが中心になります。 血糖値のコントロールのポイントは、血糖値を合併症が起こらない目標値にまで下げることです。 ちなみに、血糖値のコントロールでは、空腹時血糖値ではなく、ヘモグロビンA1cの数値を使います。 これは、空腹時血糖値は食事の内容で大きく変化するのに対し、ヘモグロビンA1cは1〜2ヶ月間の血糖値の平均的状態を 示す数値なので、糖尿病の状態がより正確にわかるためです。つまり、ヘモグロビンA1cが下がれば血糖値のコントロールがよくなり、 上がれば悪化してきた、ということになります。

ヘモグロビンA1cの正常値は6.2%以下。6.5%を超えた時に糖尿病とみなされます。 ですが、ステージ2の人は、正常値にまで無理にヘモグロビンA1c値を下げる必要はありません。 治療の目的は、ヘモグロビンA1c値6.9%未満。この数値が持続的に達成できれば、合併症を予防することができます。 ステージ2でヘモグロビンA1c値が、6.9%未満の人はその状態を維持できるように、ヘモグロビンA1c値が6.9%以上の人は 6.9%未満になるように、血糖値のコントロールを行うようにしてください。 ただし、血糖値のコントロールは、薬を飲まなくても目標値を達成できるように、生活習慣を改善するべきです。 というのは、薬の力で無理やり血糖値を下げると、弱っている膵臓に鞭を打ってインスリンの分泌を促すことになり、 糖尿病の治療に逆効果になることがあるからです。

さらに、最近の海外の研究では、「血糖コントロールを厳格に行うほど死亡率が上がる」という衝撃的な報告がありました。 これは、高くなった血糖値を薬で急激に下げようとするほど、死亡率が高まる結果になったということです。 では、薬に頼らず血糖値をコントロールするには、どうしたらいいのでしょうか。 実は、難しいとされる血糖値のコントロールは、食事を見直すだけで簡単にできます。 そのために、わざわざ難しいカロリー計算をする必要はありません。 肉をお腹いっぱい食べても、適量ならお酒を飲んでもかまいません。 ただし、一つだけ心がけてほしいのは、炭水化物(糖質)の摂取を控える「糖質制限食」を行うこと。 具体的には炭水化物をはじめとする糖質を減らすだけです。

糖質制限食は、イギリスで「カーボハイドレート・カウンティング(カーボハイドレートは炭水化物、カウンティングは 計算するという意味)」の名前で始まりました。手軽で効果が高いため、1994年に米国で糖尿病学会がすすめる食事療法として 正式に採用され、現在に至っています。 カロリー制限は、肥満を防止するうえでも重要なこと。しかし、血糖値を下げるという点でも、肝心なことはカロリーではなく 糖質を減らすことなのです。糖質制限食を始めれば、食後に血糖値が大幅に上がることがないため、血糖値のコントロールが 簡単にできます。さらに、合併症が起こりにくくなるため、薬を減らすこともできます。 ステージ2の人は、薬で急激に血糖値を下げようとせず、食事の改善で血糖値をゆっくり下げるようにしてください。 これまで、血糖値のコントロールに苦労していた人も、糖質制限食を実行すれば、すぐにその効果が実感できるでしょう。

ただし、ヘモグロビンA1c値が7.4%以上の人は、合併症を起こす危険が高いため、薬を飲んででも高い血糖値を下げる必要があります。 特に、ヘモグロビンA1c値が8.4%を超えた人には、体内のインスリンを増やす新薬「インクレチン」がよく効き、 驚くほど簡単に血糖値が改善します。「薬に頼りたくない」という人の気持ちはよくわかりますが、 血糖値のコントロールがよくなれば薬はやめられるので、まずは薬を飲んで数値を下げることも大切です。