糖尿病の合併症B高血糖と動脈硬化

動脈硬化は、糖尿病の合併症の中でも比較的早くから起こります。 そのため、糖尿病のある人が心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクは、そうでない人に比べて2〜3倍の高といわれています。 動脈硬化の危険因子には、高血糖以外にも、「高血圧」「脂質異常症」などがありますが、 近年、治療薬の進歩によって、高血圧や脂質異常症は比較的コントロールしやすくなりました。 しかし、高血糖はまだ治療の難しいケースが多く、動脈硬化を進行させる大きな要因となっています。
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■糖尿病の合併症B高血糖と動脈硬化

活性酸素が多く発生し、血管壁が傷つけられて起こる


●動脈硬化を起こす仕組み

高血糖状態になると、なぜ動脈硬化が進むのでしょうか。 血液中のブドウ糖(血糖)が多くなると、血管の細胞から活性酸素が多く産生されるようになります。 活性酸素が増えすぎると、血管の内壁を傷つけます。血管壁が傷つくと、そこを修復するために血球成分などが集まり、 動脈硬化の原因となります。また、血管壁の傷からは「悪玉コレステロール」と呼ばれる「LDLコレステロール」を含む 「LDL(低比重リポたんぱく)が、内部に入り込みます。 このLDLは、活性酸素によって酸化され”超悪玉”の「酸化LDL」になります。 酸化LDLが「貪食細胞(マクロファージ)」に取り込まれて血管壁に蓄積すると、 「プラーク」が形成され、動脈硬化を招きます。

【関連サイト】
『動脈硬化』


●動脈硬化の危険因子

動脈硬化には、高血糖や血液中のコレステロールなど、さまざまな要因が関わっています。 実は、これらの背景には、「内臓脂肪型肥満」が深く関わっているのです。 腹部の内臓の周りに脂肪がたまる内臓脂肪型肥満があると「インスリン抵抗性」が起こりやすくなります。 インスリン抵抗性があると、体はよりたくさんのインスリンを分泌して、血糖値を下げようとします。 この状態では、慢性的な血糖値の上昇は起こりにくいものの、食後の血糖値が高い 「隠れ糖尿病」を招きやすくなります。 さらに、過剰に分泌されたインスリンは、中性脂肪の代謝を妨げて脂肪をたまりやすくしたり、 腎臓でのナトリウムの吸収に働きかけて血圧を上げるように作用したりします。 その結果、動脈硬化の危険因子がそろいやすくなって、動脈硬化を進行させます。 また、脂肪細胞からはさまざまな生理活性物質が分泌されていますが、脂肪が蓄積しすぎると分泌のバランスが崩れ、 血圧や脂質、血糖のコントロールを乱します。さらに、インスリン抵抗性によっても生理活性物質の分泌のバランスが崩れます。 このように、内臓脂肪肥満があると、高血糖、高血圧、脂質異常を併せ持ちやすく、 動脈硬化を起こす危険性が高くなります。この場合、それぞれの程度が軽くても、お互いに作用しあって、 動脈硬化を進行させるのです。

【関連サイト】
『メタボリックシンドローム』



●予備軍の段階から対策が必要

神経障害や腎症などの細い血管に起こる合併症は、糖尿病を発病した後からリスクが高くなります。 それに対して、太い血管に起こる合併症は、糖尿病予備軍のうちからリスクが高まることがわかっています。 動脈硬化の進行を抑えて心筋梗塞や脳卒中を防ぐためには糖尿病予備軍の段階から積極的に行う必要があります。、


●動脈硬化を防ぐには

動脈硬化の危険因子には、高血糖のほかに、「高血圧、脂質異常、肥満、喫煙」などがあります。 特に高血糖と高血圧が合併すると、動脈硬化の進行が加速するので注意が必要です。 動脈硬化を予防するためには、まずは内臓脂肪型肥満の解消に努めることが肝要です。 肥満を招く、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣は、糖尿病はもちろん、高血圧、脂質異常などの原因にもなるので、 こうした生活習慣、特に食習慣を改善して、危険因子を減らすことが大切です。

▼1日合計30分間の全身運動
全身運動を続けると、筋肉で糖が燃えやすくなり、血糖値が下がります。 また、血管が広がり、血圧も下がります。

▼脂質を控え、禁煙する
食事からの脂質の摂りすぎは、動脈硬化を進める原因です。 また、たばこは血管を収縮させて動脈硬化を促進します。

▼食後血糖値の上昇を抑える
健康な人でも食後血糖値は上がりますが、食後血糖値の上昇幅が小さいと、 血管にかかる負担が軽くなります。そのためには、食事の始めに食物繊維の多い食品を摂りましょう。 食物繊維は消化されにくいため、食べ物の消化・吸収を緩やかにします。 また、食べる量の多い主食には、精製度が低くて消化・吸収の緩やかな「玄米ごはん」などがお勧めです。 甘いものは血糖値を急に上げやすいので控えたいところですが、 どうしても食べたい場合は、摂りすぎにならない程度の量を食後に摂りましょう。 食後ならすでに胃の中に他の食べ物が入っているので、消化吸収が比較的緩やかになります。

すでに動脈硬化が進んでいる場合も、生活習慣に注意して血糖をコントロールすることが、 心筋梗塞や脳卒中を防ぐことになります。また、ある程度動脈硬化が進行してしまった場合は、 生活習慣の改善と並行して、薬物療法が行われます。動脈硬化は進行すると改善するのが難しくなるため、 糖尿病予備軍の段階から血糖、血圧、血中脂質を適正に管理して、悪化させないように注意することが大切です。

【関連サイト】
『動脈硬化』