糖尿病の治療

糖尿病の治療には、食事を改善して肥満を予防する「食事療法」、 運動で血糖を消費する「運動療法」、 インスリンの分泌を促進したり作用を改善する「経口薬」や「インスリン療法」などの「薬物療法」があります。 近年、「インスリン製剤」を使った薬物療法では、 より効果的に血糖をコントロールする方法が、行われるようになってきました。
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■糖尿病の治療

食事療法や運動療法などでHbAlcを6.5%未満にする

糖尿病があっても治療を受けていない人は少なくありません。 2006年の「国民健康・栄養調査」では、糖尿病が強く疑われる人が820万人だったのに対し、2005年の「患者調査」では、 糖尿病で医療機関に通っている人は247万人でした。この2つの調査から、 糖尿病の人約3割しか治療を受けていないことが推測されます。 日本を含め、世界中で糖尿病が増えていることから、国連は11月14日を「世界糖尿病デー」に指定しました。 当日には、世界中で糖尿病抑制に向けた啓発活動が行われています。

それほど、糖尿病が大きく注目されている理由には、糖尿病を放置して合併症を発症する患者さんが少なくないことが挙げられます。 合併症を防ぐには、糖尿病の早期診断と早期治療が大切です。また、ある程度進行した「糖尿病腎症」でも、 血糖と血圧の厳格なコントロールによって、腎機能が回復するケースもあります。

糖尿病の治療法には、「食事療法」「運動療法」、経口薬やインスリン製剤を用いる「薬物療法」があります。 治療効果は、過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値を反映する「HbAc」で判定します。 HbAlcが、三大合併症の発症などを防ぐと考えられる「6.5%未満」になるように治療を進めていきます。



●食事療法

食事を改善して肥満を予防する

血糖値は毎日の食事に大きく左右されます。食べ過ぎによる「肥満」は、糖尿病の明らかなリスクです。 まず、自分の体格や1日の活動量に応じた適正なエネルギー量を知り、その範囲内で食事を摂るのがポイントです。 栄養のバランスにも注意する必要があります。特に動物性脂肪はエネルギー量が多く、摂りすぎると内臓脂肪が蓄積して、 インスリンの分泌や作用の障害につながるため、適量にとどめます。 甘いものも血糖値を上げやすいので摂りすぎないようにしましょう。 逆に、食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑えるため、積極的に摂ってください。 1日3食規則正しく食事を摂ることや、よく噛んでゆっくり食べることも大事です。 間食は、1日の適正な摂取エネルギー量の範囲内で摂るようにします。 血糖のコントロールが良好であれば、適量のお酒を楽しむこともできます。

【関連項目】
『糖尿病の食事療法』


●運動療法

運動で血糖を消費する

運動には、インスリン以外の作用を介してブドウ糖の取り込みを促進する効果や、インスリンの作用を改善する効果があります。 また、肥満の改善にも効果的です。運動療法に適しているのがウォーキングなどの「有酸素運動」です。 食事の1〜2時間後に、なるべく30分以上継続して行うと効果的です。それを週に3日以上行うことで、 運動療法の効果をより高めることができます。 ただし、合併症や「動脈硬化症」「不整脈」などが潜んでいる場合がありますから、 運動療法を始める前に必ず医師の診察や指導を受けましょう。
その他、”エレベーターやエスカレーターを使わず階段を使う”というように、 日常生活の中で積極的に体を動かすことも運動療法になります。

【関連項目】
『糖尿病の運動療法』



●薬物療法@「経口薬」

インスリンの分泌を促進したり作用を改善する薬を使う

食事療法や運動療法だけでは血糖のコントロールが不十分な場合は、並行して「経口薬」を使います。 経口薬は、作用の違いによって大きく3種類に分けられます。

▼インスリン分泌促進薬
【効果】膵臓からのインスリンの分泌を促す
【副作用】低血糖
放置すると命にかかわる低血糖を起こすことがあるため、適切な処置を医師に聞いておく。
▼食後高血糖改善薬
【効果】省庁でのブドウ糖の吸収を緩やかにする
【副作用】おなかが鳴る。おならがでる、など
ブドウ糖の吸収を遅らせて、血糖値の上昇を緩やかにする。食事を摂る直前に服用する。
▼インスリン抵抗性改善薬
【効果】インスリンの作用をよくする
【副作用】むくみ、体重増加、お腹が張る、下痢、便秘など
肝臓や筋肉、脂肪組織に作用して、インスリンの作用をよくする。まれに重篤な副作用尾起こすことがある。

経口薬には、食事の直前に服用するものもあるので、医師に指示されたタイミングを守って服薬することが大事です。 薬によっては、体重が増えたり、血糖値が下がりすぎる「低血糖」を起こしたりする場合があり、 こうした副作用を防ぐためにも、食事療法を徹底することが重要です。

◆作用の異なる新しい薬が開発されている

現在、従来の薬と作用の異なる「GLP-1類似薬」「DPP阻害薬」の臨床試験が行われています。 これらの薬は低血糖が起こりにくいのが特徴で、インスリンの分泌を促す作用を持っています。 また、GLP-1類似薬は、食欲を抑えたり、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞の機能を改善させたりする効果も報告されています。 欧米では、すでにその一部が使用されており、日本でも数年以内の承認が期待されています。

【関連項目】
  『糖尿病の薬物療法』


●薬物療法A「インスリン療法」

インスリン療法は、患者さんがインスリン製剤を注射する治療法です。 一般に、経口薬で十分な効果が得られなければインスリン療法を行います。 従来インスリン療法では、できるだけ少ない使用回数で血糖をコントロールしていました。 しかし、最近は、インスリン製剤を使用する回数やタイミングによって健康な人のインスリンの分泌パターンに できるだけ近づける「強化インスリン療法」が主流になっています。

◆早めにインスリン療法を行う方がよい場合も

患者さんの中には、”インスリン療法は最終的な手段””一生続けなければいけない”と思い込み、 使用に抵抗感を持つ人もいます。しかし、早めにインスリン療法に切り替えると、高血糖が改善するほか、 膵臓のインスリン分泌機能を温存することができます。 早めに切り替えることで経口薬が効きやすくなり、経口薬のみの治療に戻ることができる場合もあります。 さらには、以前より少ない量の経口薬で、血糖を管理できるようになることも期待できます。

【関連項目】
  『インスリン療法』