Hb1c6%未満を目指す糖尿病治療

糖尿病」の初期で血糖値もあまり高くない若い人なら、HbA1c6.0%未満を目標に、 「食事療法」「運動療法」に取り組みます。
(*本文は下の方にあります)


■Hb1c6%未満を目指す糖尿病治療

●治療への第一歩

食べ過ぎや運動不足を改善し、血糖コントロールを良好にする

糖尿病の発症には、食べ過ぎや不規則な食事、運動不足、肥満、体質などが関係しています。 特に膵臓のインスリン分泌の生まれつき低い人は、血糖値が上がりやすく、ほんの少し体重が増えただけでも血糖値が高くなります。 そのため、軽い肥満の人や肥満のない人でも、糖尿病になることがよくあります。 また、生命活動を維持するのに必要な最低限のエネルギー量である「基礎代謝」は、40歳頃を境に低下してきます。 高齢になっても若いときと同じように食事を摂っていると、簡単に体重が増加します。 糖尿病の発症にはこうした背景もあります。 糖尿病を発症したばかりで血糖値があまり高くない人の場合は、薬を使わずに生活習慣の改善だけで、HbA1c6.0%未満を目指すこと が十分可能です。糖尿病の合併症の多くは7.0%未満で予防することができますが、6.0%未満ならより確実に防ぐことができます。 食事療法と運動療法をしっかり守れば、6ヶ月ほどで6.0%未満を達成できるでしょう。



●生活習慣の改善@食事療法

適正な摂取エネルギー量を守り、食事のタイミングなどにも注意

糖尿病の食事療法の基本は大きく分けて次の3つです。

▼適正な摂取エネルギー量
1日の摂取エネルギー量は、男性が1400〜1800kcal、女性は1200〜1600kcalが目安です。 これは日本人の平均的な食事よりもかなり減らした量になります。ただし、体格や活動量などによって適正な量が変わるので、 受診した時に管理栄養士などに相談するとよいでしょう。

▼栄養バランスのとれた食事
三大栄養素のバランスは、全体の50〜60%を、ご飯やパンなどの「炭水化物」から摂ります。 残りをタンパク質と脂質から約半分ずつ摂取しますが、実際には脂質の摂り過ぎが問題となっています。

▼食物繊維の摂取
食物繊維はブドウ糖が吸収されるのを遅らせて、血糖値を上げにくくします。

その他にも、次の2つのポイントを押さえておきましょう。

◆朝と昼はしっかり、夜は少なめにする

夜に食べ過ぎると、内臓脂肪が蓄積しやすくなります。さらに、翌朝まで血糖値が高い状態が続くので、朝起きても空腹感がなく、 朝を抜いてまた夜食べ過ぎるという悪循環に陥ります。
改善するためには朝食を摂ることが大切で、”薬”だと思って食べてください。朝食を作る余裕がない場合は、コンビニエンスストア などを利用します。おにぎりや野菜サラダなどの市販の食品がお勧めです。 昼は、例えば麺類なら天ぷらうどんではなく山菜そばなどにすれば、脂質が減らせて食物繊維が摂れます。 蕎麦の方がうどんより、食物繊維を多く含むので血糖値は上がりにくくなります。 さらに、たんぱく質を補うために、蕎麦に卵を乗せるとよいでしょう。夜は食べる量を減らします。 例えば、トンカツ定食の代わりに刺身定食にすれば、エネルギーも脂質も大きく減らすことができます。 ご飯の量も少なめにします。食品の種類は多い方がよいので、食物繊維の多いヒジキや酢の物などを加えるとよいでしょう。 酢の物も血糖値を上げにくいおかずの一つです。

◆アルコール、菓子類、塩分などに注意

お酒はビール中瓶1本程度の少量でやめられるのならともかく、実際には飲み始めると少量では済まない患者さんが多いのが 現状です。少量でやめられない場合は禁酒が勧められます。菓子類はエネルギー量が多いので、食べないのが原則です。 果物は健康に良い栄養素も含んでいますが、糖分も多いので摂り過ぎないことです。 果物を食べる場合は朝にします。朝に食べて血糖値が上がっても、その後に体を動かしてエネルギーを消費するので血糖値は 下がります。夜に食べた場合は、あとは寝るだけなので血糖値が上がったままの状態になります。 食べる果物は、食物繊維の多いリンゴなどがお勧めです。塩分の摂り過ぎにも気を付けます。 蕎麦などのつゆは全部飲まずに残す、定食の漬け物は食べない、みそ汁も控えるといった工夫をしましょう。



●生活習慣の改善A運動療法

有酸素運動と筋力トレーニングを日常生活の中に取り込む

糖尿病の運動療法には、「速歩」やゆっくり走る「スロージョギング」「水泳」などの有酸素運動が最も適しているとされています。 有酸素運動に、筋肉を鍛える運動を加えるとより効果的です。速歩はややきつめの速さで行います。 15〜30分を目安に1日2回、歩数にして1万歩をめざし週に3日以上、できれば毎日行います。 食後の血糖値は1時間〜1時間半でピークに達するといわれますから、食事の開始から1〜2時間後に運動を始めると効果的です。

◆忙しくて運動する時間が取れない場合

運動する時間がなかなか取れない場合は、生活の中で体を動かす機会を増やします。 例えば、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を利用したり、可能であれば通勤電車を一駅手前で降りて歩くなどの 工夫をするとよいでしょう。




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