Hb1c7%未満、合併症を防ぐ治療

HbA1c7%未満は、血糖コントロールの目標値の基本です。 7.0%未満に下げるためには、薬物療法も積極的に行います。
(*本文は下の方にあります)


■糖尿病の薬物療法

生活習慣の改善と併せることで、合併症の発症や進行を防ぐ

血糖コントロールの目標値は3つに分けられていますが、なかでもHbA1c7.0%未満は基本となる値です。 7.0%未満の状態を維持できれば、主な合併症の発症や進行を抑えることが期待できます。 HbA1cを7.0%未満に維持するためには、食事や運動などの生活習慣の改善以外に薬物療法も行われます。 糖尿病の薬は、従来からある飲み薬と新しく登場した「インクレチン関連薬」、「インスリン製剤」 の3つに分けられます。


●治療薬@従来の飲み薬

インスリンの分泌を促したり、抵抗性を改善したりする

従来からある飲み薬は、作用の仕方によって3種類に分類されます。

▼インスリン分泌を促進する薬
日本以外では、最もよく使われてきた薬で、膵臓を直接刺激して、インスリン分泌をよくします。 「スルホニル尿素薬」と「グリニド薬」があります。

▼インスリン抵抗性を改善する薬
筋肉や膵臓でのインスリンの働きをよくする薬で「チアゾリジン薬」と「ビグアナイド薬」があります。 肥満があり、インスリンの働きの悪い人に向いています。

▼ブドウ糖の吸収を遅らせる薬
食べ物に含まれるブドウ糖が小腸から吸収されるのを遅らせて、食後の血糖値が急上昇するのを抑える薬で、 「α−グルコシダーゼ阻害薬」があります。

▼関連項目
『糖尿病の薬物療法』


●治療薬Aインクレチン関連薬

インスリンとグルカゴンに作用して、血糖値を下げる

インクレチン関連薬は、膵臓のインスリン分泌を促進する作用のある薬です。 この点は従来から使われているスルホニル尿素薬などと同じですが、この薬には血糖値を上げる「グルカゴン」という ホルモンの分泌を抑える作用もあります。スルホニル尿素薬の場合は、常に膵臓を刺激してインスリン分泌を促進するため、 血糖値が下がり過ぎる「低血糖」を起こす場合があります。インクレチン関連薬は、食後などの血糖値が高いときにだけ インスリンの分泌を促すので、低血糖が起きにくいのが特徴です。また、インスリンを分泌させるときに、スルホニル尿素薬ほど 膵臓を疲れさせないと考えられています。 また、従来の飲み薬の多くは、体重が増えやすい副作用がありましたが、インクレチン関連薬には、体重が増えにくいという メリットがあります。インクレチン関連薬は次の2つに大別されます。

▼DDP-4阻害薬
飲み薬で、現在よく使われているインクレチン関連薬です。血糖値を下げる効果はGLP-1受容体作動薬の方が強力です。

▼GLP-1受容体作動薬
自分で注射する薬です。体重が増えにくい点はDPP-4阻害薬と共通していますが、GLP-1受容体作動薬は、食欲を抑える効果も 期待できます。

▼関連項目
『インクレチン関連薬』

◆糖尿病の進行と治療薬の選択

糖尿病は進行する病気で、罹患年数と共に膵臓のインスリン分泌が低下し、血糖値が上がってきます。 スルホニル尿素薬は血糖値をよく下げますが、糖尿病が進むにつれて効果が薄れてきます。 効果が薄れてきた場合は、まずDPP-4阻害薬の追加を考えます。2つの薬は作用が異なるため、併用することで作用が重なり、 血糖値のさらなる低下が期待できます。ただし、低血糖を起こす可能性もあるので、DPP-4阻害薬を併用する場合は スルホニル尿素薬を減量しなくてはいけない場合もあります。 スルホニル尿素薬を長く使っている場合、一気にDPP-4阻害薬のみの使用に切り替えると血糖コントロールが悪くなることがあります。 ただし、初めて糖尿病の薬を使う人では、DPP-4阻害薬だけを用いることがよくあります。 2014年には「SGLT-2」阻害薬」という新しい薬が登場する予定です。 この薬は血液中の過剰なブドウ糖を尿中に排出させて血糖値を下げます。 インクレチン関連薬以上に体重を減らす効果があるという点でも注目されています。



●治療薬Bインスリン製剤

インスリンを注射して補い、血糖値を改善させる

インスリン製剤は、膵臓のインスリン分泌が低下した場合に、自分で注射してインスリンを補うものです。 一般に、糖尿病が進行し、膵臓のインスリン分泌が低下してから開始します。しかし、膵臓のインスリン分泌に余力があるうちに 行う方が血糖をコントロールしやすいので、最近は早めに始める方向にあります。 糖尿病の初期には血糖値が急激に高くなることがありますが、その場合は一時的にインスリン注射を行い、膵臓を休ませることも あります。その後はインスリン製剤の使用を中止することも可能です。 健康な人のインスリン分泌に近づけるためには、1日3〜4回の注射が理想的です。例えば、毎食後の血糖上昇を抑えるために、 「速効型」や「超速効型」のインスリン製剤を食前に注射し、食前の血糖コントロールのために「持効型」のインスリン製剤を 注射します。それが難しい場合は、1日に1〜2回の注射で対応することもあります。

◆インクレチン関連薬との併用

インスリン注射を1日に1〜2回行っている患者さんでは、食後の血糖値の上昇を抑えるためにDPP-4阻害薬を併用することが よくあります。インスリン注射単独に比べて、低血糖が起きにくく体重も増えにくいメリットがあります。 最近では、GL-1受容体薬との併用も可能になりました。食前の血糖コントロールは持効型インスリン製剤で、 食後の血糖値の上昇はGLP-1受容体作動薬で抑えます。どちらも朝1回注射をします。 インスリン製剤の使用をやめてGLP-1受容体作動薬のみに替えるのは、血糖コントロールが悪化することが多いので勧められません。




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